
フィッシングは、サイバー犯罪者が正規の企業や公的機関になりすまして、標的に悪意のあるリンクや添付ファイルをクリックさせようとするオンライン攻撃の一種です。これにより、攻撃者は被害者の機密情報を窃取したり、端末にマルウェアを感染させたりします。
従来はメールを使ったフィッシングが一般的でしたが、近年ではSMS(ショートメッセージ)を利用した手法が急増しています。SMSフィッシング、別名「スミッシング」は、攻撃者が数百~数千件もの携帯番号に悪意のあるメッセージやリンクを送り付け、受信者を巧みに誘導して不利益な行動を取らせるフィッシング攻撃です。
暗号資産保有者を狙うSMSフィッシングの主な目的は、受信者の暗号資産ウォレットやアカウントに侵入し、資金を奪うことです。暗号資産領域でSMSフィッシングが深刻な課題となる理由は以下の2点です。
暗号資産へ投資している方、またはこれから投資を検討している方は、こうした脅威の特徴と、万一メッセージを受け取った場合の対応策を十分に理解しておくことが重要です。
フィッシングメッセージは、以下の3つのポイントを確認することで高確率で見分けられます。
送信元番号 最初に確認すべきは、メッセージの送信元番号です。ネット検索で簡単に調べると、その番号が詐欺に使われているケースが多く、明らかな警告サインとなります。正規企業は公式チャネルや認知された番号のみ利用します。
メッセージ内容 文法ミスがある場合、詐欺の可能性が高いと言えます。明確な誤りがなくても、内容や意図を慎重にチェックしてください。フィッシングは、恐怖や興奮を煽ることで感情を操作しようとします。ポジティブ・ネガティブ問わず感情を揺さぶるメッセージは要注意です。よくある例として、アカウントの緊急警告、突然の賞品通知、期限付きオファーなどがあります。
リンク リンクはクリック前に必ずチェックしましょう。信頼できる正規プラットフォームのドメインが含まれていない場合、ほぼ間違いなくフィッシングです。ドメイン名が似ている場合も要警戒で、多くの攻撃者が類似ドメインでユーザーを騙します。
SMSフィッシングの見分け方を理解したら、次は実際に受信した時の対応です。
最も重要なことは、絶対にリンクをクリックしないことです。これが安全確保の最優先事項です。
さらに、以下のような対策を講じることが有効です。
携帯キャリアへの報告 メッセージ内容をコピーして、米国大手携帯キャリアが運用するショートコード「7726」へ送信してください。これにより、キャリアは悪意あるメッセージを検知・ブロックでき、他ユーザーの保護にも貢献できます。
プラットフォームへの報告 メッセージのスクリーンショットを撮り、なりすまし対象となっているプラットフォームのセキュリティチームに報告します。主要な暗号資産プラットフォームの場合は、公式セキュリティ連絡先へ送信することで、フィッシングリンクの調査や、該当サイトの停止申請などにつながります。
暗号資産の普及が進むほど、サイバー犯罪者は新たな手口で資産を狙います。大手プラットフォームのセキュリティ部門が新しい脅威情報を発信していますが、利用者自身も積極的にアカウント保護に取り組むことが重要です。
実際のSMSフィッシング事例の理解は、攻撃を効果的に見抜く助けとなります。以下、典型的なシナリオを紹介します。
事例1:不審な電話番号+恐怖心を煽るメッセージ
電話番号はほぼ無名で、正規の検索結果にも現れません。文法上の問題が見られ、不正なアカウントアクセスを主張して恐怖心を煽ります。リンクは正規ドメインではなく、攻撃者は国際化ドメイン名(IDN)を利用し、特殊文字やアクセントを加えて正規ブランドを模倣する例もあります。
事例2:異常な電話番号+興奮を煽るメッセージ
番号が異常に長く、調査すると不審です。文法ミスが複数あり、偽の暗号資産受領を装って興奮を煽ります。リンクは正規ドメインではなく、ユーザー認証情報を盗むための詐欺サイトへ誘導します。
事例3:不明な番号+報酬通知
電話番号は無名で、正規事業者の検索結果でも見つかりません。暗号資産の報酬やボーナス受領を謳い、受信者を興奮させます。リンクは公式ドメインではなく、偽装・フィッシングドメインからログイン情報の入力を誘導します。
これらの事例は、SMSフィッシング攻撃の典型的なパターンを示しています。警戒を怠らず、識別方法を徹底することで被害リスクを大幅に減らせます。迷った場合はリンクをクリックせず、必ず公式チャネルで真偽を確認しましょう。
SMSフィッシングは、信頼できる企業や機関になりすました偽のテキストメッセージで個人情報を盗むサイバー攻撃です。メールフィッシングがメールを使用するのに対し、SMSフィッシングはSMSチャネルを悪用し、高い反応率と緊急性を狙います。
SMSフィッシングは、不審なリンク、緊急性の高い言葉、個人情報の要求で見分けられます。警告例としては、アカウント認証要求、支払い問題、未知の送信元からの異常通知などがあります。リンクをクリックしたり、SMS経由で認証情報を送信しないよう注意してください。
攻撃者は銀行や政府機関などになりすまし、緊急性を強調して被害者を悪意のあるリンククリックや機密情報の流出に誘導します。心理的操作で暗号資産ウォレットや個人情報を狙うことが一般的です。
すぐに重要なアカウントのパスワードを変更し、被害の可能性がある支払いカードを停止します。不審な取引を金融機関に報告し、アカウントを継続的に監視してください。
不明なリンクを避け、送信者が正規かどうかを必ず確認しましょう。二要素認証の導入、セキュリティソフトの利用、定期的なセキュリティ教育も効果的です。SMSで機密情報を共有せず、疑わしいメッセージは速やかに報告してください。
「Smishing Triad」事件では、偽の郵便サービスSMSでユーザーを騙し、金融認証情報や支払情報を盗みました。これにより、利用者は大きな経済的損失を受け、アカウントのセキュリティが著しく損なわれました。











