弱い雇用報告がウォール街を赤字圏に押し込む—2024年8月5日

雇用データが市場の売りを誘発

米国の労働市場は2024年8月5日に投資家に衝撃を与えました。7月の雇用統計が予想を大きく下回ったためです。非農業部門の雇用者数は18万人の予測に対し11.4万人しか増えず、景気の減速懸念が株式市場に波及しました。失業率は4.3%に上昇し、2021年10月以来の高水準となり、堅調な「ゴールディロックス」シナリオへの期待と矛盾する労働市場の冷え込みを示しました。

賃金の伸びも期待外れでした。平均時給は0.2%の上昇にとどまり、予想の0.3%を下回りました。また、前年比の賃金上昇率は3.6%で、予測の3.7%を下回り、2021年5月以来最も遅いペースとなりました。これらの弱い労働指標は、リセッション(景気後退)への不安を高めました。

株式市場全体が下落

この弱さはすぐに市場に現れました。ハイテク株中心のナスダック総合指数は417.98ポイント下落し、2.4%の下落で16,776.16に終わり、調整局面に入りました。S&P 500は100.12ポイント(1.8%)下落し、5,346.56に、ダウ・ジョーンズ工業株平均は610.71ポイント(1.5%)下落し、39,737.26で取引を終えました。

11の主要市場セクターのうち8つが下落し、消費者裁量支出 (XLY)、テクノロジー (XLK)、エネルギー (XLE) セクターが特に打撃を受け、それぞれ3.7%、2.8%、2.6%の下落となりました。市場の恐怖指数とされるCBOEボラティリティ指数 (VIX) は25.8%上昇し、23.39となり、トレーダーの不確実性が高まっていることを反映しています。

広がる売り圧力

市場内部の指標も悪化しました。ダウの構成銘柄30のうち、プラスで終えたのは11銘柄だけで、19銘柄は赤字に沈みました。ナスダックでは、新たに52週高値を付けた銘柄は34銘柄だけで、297銘柄が新たな安値を記録し、売り圧力の広がりを示しました。取引量は14.75億株と、20セッション平均の11.97億株を上回り、下落に対する確固たる意志があったことを示しています。

S&P 500は62の新たな52週高値を記録しましたが、新たな安値は15銘柄と、リーダーシップの偏りも明らかになっています。

政策の変化の兆し

雇用統計の失望はすぐに金利引き下げ期待を再燃させました。FRB議長のジェローム・パウエルは最近、インフレ抑制に向けた進展を示唆し、9月にも利下げが始まる可能性を示しました。CME FedWatchのデータによると、トレーダーは9月の政策会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が基準金利を50ベーシスポイント引き下げる確率を約78%と見積もっています。

FRBはインフレ対策のために2001年以来の高水準で金利を維持していますが、弱い労働市場のデータは、その引き締め姿勢の見直しを迫っています。

企業決算はまちまち

個別株の結果は明確に分かれました。**チャート・インダストリーズ(GTLS)**は、2024年第2四半期の調整後1株当たり利益が2.18ドルで、ザックスコンセンサスの2.57ドルを下回り、投資家を失望させました。同社の総収益は10.4億ドルで、予想の11.1億ドルを下回りました。株価は大きく下落し、18.1%の下落で終わりました。

一方、**シネマーク・ホールディングス(CNK)**は予想を上回る結果を出しました。同社は調整後第2四半期の1株利益を0.32ドルとし、コンセンサスの0.07ドルを大きく上回り、収益は7億3420万ドルで、予想の6億9320万ドルを超えました。株価は7.6%上昇し、ザックスランクは#3(ホールド)です。

週のまとめは不確実な兆し

2024年8月5日に終わる週全体としては、ダメージは控えめながらも確かなものでした。ナスダックはわずか0.03%下落し、S&P 500とダウはそれぞれ0.02%の下落にとどまり、下落の裏にあるボラティリティは薄れていません。ただし、雇用の弱い報告は、今後数週間にわたり投資家の決断を試す可能性があり、市場は経済成長とFRBの政策の両面で期待値の再調整を迫られるでしょう。

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