資産の流動性に関する深い説明 英語ではCurrent Assetと呼ばれる

なぜ投資家は流動資産を理解する必要があるのか?

財務諸表の分析は、バリュー投資家にとって基本的な重要性を持つ。各バランスシートには、企業の財務状況を示すさまざまな要素が含まれている。その中でもしばしば見落とされがちだが非常に重要なのが流動資産 (英語ではCurrent Asset) である。この数字は、企業が金融危機にどう対処できるか、短期資源をどのように管理しているかを示している。

流動資産 (Current Asset) とは実際に何か?

流動資産は、バランスシートの資産の一部であり、1年以内に現金に変換できる資源の価値を示す。最も簡単に言えば、企業が保有する現金や販売可能な商品、その売上からすぐに資金を得られるものだ。

流動資産と固定資産の違いは、現金化の容易さにある。土地や建物などの固定資産は売却に時間がかかり、全額を得られない場合もあるが、流動資産はより迅速に処理できる。

流動資産の種類には何がある?

現金 (Cash)

最も流動性の高い資産であり、即座に支払いまたは投資に利用できる。ただし、欠点は現金を多く保有していると収益を生まないことだ。過剰な現金保有は収益機会の喪失につながる。

現金同等物 (Cash Equivalents)

このグループの資産は現金に似ており、短期間で換金可能で、利息収入をもたらす点が特徴。ただし、金融機関のリスクも伴う。

短期投資 (Short-Term Investment)

企業は時には1年未満の株式や債券に投資し、余剰資金からリターンを得ようとする。リスクは高まるが、利益獲得の機会も増える。

売掛金 (Notes Receivable)

取引先や顧客からの短期(1年未満)の支払い約束。利息を伴うが、取引先の支払い遅延リスクもある。

売掛金 (Accounts Receivable)

顧客から未払いの金額。柔軟な経営の結果、顧客に分割払いを許可している場合が多いが、財務問題により支払い遅延のリスクもある。

在庫 (Inventory)

販売待ちの原材料や完成品。将来的に販売されて現金化されるが、在庫過多は企業の埋没コストとなる可能性があるため注意が必要。

事務用品・消耗品 (Supplies)

業務に必要な原材料や消耗品。

未収収益・前払費用 (Accrued Revenue & Prepaid Expenses)

将来受け取る見込みの収益や、先に支払った費用で今後の利益に寄与するもの。

Appleのケーススタディ:流動資産の読み方例

Apple (APPL) は、流動資産管理の優れた例だ。2020年初頭の株主総会では、CEOのティム・クックが、コロナ禍の始まりにあたるこの時期においても、同社の流動性は問題ないと断言した。

2019年の財務諸表を見ると、Appleの流動資産は合計1628億19百万ドル、現金と現金同等物は59百万ドルだった。

しかし、2020年には次のような変化が見られる:

  • 流動資産は143億ドルから135億ドルへ減少
  • 現金と現金同等物は90億ドルから48億ドルへ大きく減少 (46%減少)
  • 売掛金は37億ドルから60億ドルへ増加 (62.7%増加)

この変化は、Appleが取引先からの請求方針を変更したか、ビジネスモデルの変化を示している可能性がある。

流動資産の数字に隠された意味

財務諸表の流動資産の数字は、多くのことを示している。第一に、金融危機にどう対処できるかを示す指標だ。緊急事態、例えばパンデミックの際には、これらの資産を現金化して従業員の給与、賃料、メンテナンス費用に充てることができる。

第二に、流動資産の種類は、流動性の質を示す。信用の良い顧客からの売掛金や現金は確実に現金化できるが、長期の未収金は問題となる可能性がある。したがって、投資家は流動資産の内容と質を詳細に確認すべきだ。

さらに深く分析するには

流動資産の合計数字は短期の流動性の全体像を示すが、投資家はより詳細な情報を掘り下げる必要がある。次の質問を自分に問いかけてみよう:

  • なぜ在庫は増減したのか?
  • 売掛金の増加は良い売上を示すのか、それとも回収の問題か?
  • 現金はどこに使われたのか?投資か借入返済か?

これらの質問は、企業の真の財務状況を理解するのに役立つ。単なる数字の表面だけではなく、その裏側にある実態を見極めることが重要だ。

まとめ

流動資産 (Current Asset) は、財務分析において重要な側面だ。短期的な流動性や、企業の金融ショックへの耐性を示す指標となる。合計数字だけではなく、各資産の種類や変動を深く理解することで、資産の質や企業の資金管理の実態を把握できる。浅い分析と深い分析の違いは、賢明な投資判断とリスクの高い投資の差となる。

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