OpenAI は 6 月 24 日、初の自社開発 AI チップ「Jalapeño」を正式に発表した。Broadcom との共同開発で、大規模言語モデル(LLM)に最適化された推論プロセッサとして位置づけられる。製造は TSMC が担当し、カナダの電子機器メーカー Celestica がサーバーシステムを構築する。Broadcom の CEO である Hock Tan(陳福陽)氏は、Jalapeño の性能は NVIDIA の Blackwell に匹敵すると述べている。
Jalapeño の技術仕様:9 か月のテープアウト、推論最適化設計、初期テストデータ
OpenAI の公式記事によると、Jalapeño はトレーニング用チップではなく、推論需要に特化して設計されたプロセッサである。初回設計から製造出荷(テープアウト)までにかかった期間はわずか 9 か月で、このスピードは OpenAI が自社の AI モデルを活用してチップ設計を最適化したことによる。
OpenAI のハードウェア責任者 Richard Ho 氏は、このチップが重要なワークロードを効率的に実行できると指摘。初期の公式テストでは、ワットあたりの性能が市場の同種製品を大幅に上回ることが示されている。Broadcom の CEO である Hock Tan 氏は、性能が NVIDIA の Blackwell や Google の TPU に匹敵すると声明を発表した。
博通執行長陳福陽(Hock Tan)の性能表明と HBM 利益面での課題
Hock Tan 氏はすでに Sam Altman 氏に Jalapeño の実物サンプルを納品。同時に、AI チップには大量の高帯域幅メモリ(HBM)が必要であり、現在のカスタムチップの利益率はネットワークスイッチなどの製品ほど高くないことを認めている。HBM は主に SK ハイニックスとサムスン電子が供給している。
また、顧客からの計算能力需要が爆発的に増加しており、この傾向は 2028 年まで続くと見込んでいると述べた。OpenAI の社長 Greg Brockman 氏は CNBC に対し、AI モデルがチップ開発の加速にどれほど貢献したかに驚いており、同社の計算能力需要は極めて差し迫っていると語った。
OpenAI の多様な計算戦略:Broadcom、AWS Trainium、AMD、Cerebras との協業体制
Jalapeño は OpenAI の多様な計算戦略の一部である。投資機関 Quilter Cheviot のテクノロジー研究責任者 Ben Barringer 氏は、ハイテク大手が単一のサプライヤーに依存しないよう積極的にチップ供給元を分散していると分析する。OpenAI は Broadcom との協力に加え、AWS との Trainium チップ使用に関する契約を結び、さらに AMD や 2026 年 5 月に上場予定の Cerebras とも協力関係を築いている。
OpenAI と Broadcom は以前、今後数年内に Microsoft などのパートナーと協力し、規模 10GW のデータセンターを展開する計画を発表している。自社開発チップの発表は、OpenAI が IPO 準備の重要な時期を迎えている中で行われ、市場では評価額が 1 兆ドルに達する可能性があると予想されている。自社開発チップはフルスタックの技術優位性を確立し、サービスコストを削減し、より高い評価額の期待を支えるのに役立つ。
よくある質問
Jalapeño という名前の由来と意味は?
Jalapeño は、強い辛味を持つメキシコ産の唐辛子の一種である。テクノロジーメディア Engadget は、これを OpenAI のチップ分野への「辛口なスタート」と評している。BusinessKorea は、この命名は OpenAI が NVIDIA を中心とする AI 計算インフラ市場の独占に直接挑戦する意図を示していると指摘する。半導体・ソフトウェア業界では、開発チームがコードネームに食べ物や植物、地名を使う慣習があり、OpenAI チームは 9 か月にわたる秘密の開発期間中にこのコードネームを使用し、発表時にもそのまま採用した。
Jalapeño は推論チップか学習チップか、その違いは?
報道によると、Jalapeño は推論プロセッサであり、大規模言語モデルの推論(inference)需要向けに最適化されており、学習(training)用チップではない。推論とは、AI モデルが実際の使用時に応答を生成するプロセスで、エネルギー効率とレイテンシに敏感である。一方、学習には高い計算密度が必要とされる。Jalapeño の初期テストでは、ワットあたりの性能が同種の推論製品を大幅に上回ることが示されている。
OpenAI が自社開発チップを開発することで NVIDIA にどのような影響があるか?
アナリストの Ben Barringer 氏の評価によると、ハイテク大手(OpenAI を含む)は単一サプライヤーへの依存を避けるため、積極的にチップ供給元を分散している。Jalapeño の投入により、OpenAI は NVIDIA GPU への依存を減らし、AWS Trainium、AMD、Cerebras などの多様な供給源と組み合わせて、より柔軟な計算リソース構成を構築できる。ただし、現時点では Jalapeño の規模と成熟度はまだ初期導入段階にあり、短期的に NVIDIA の市場ポジションを完全に代替するのは難しい。