暗号ベンチャーキャピタルの方向転換：パブリックチェーン、AIの冷え込み、予測、決済、RWAが新たなホットスポットに

著者：k、Odaily 星球日报

暗号資産のベンチャーキャピタル市場は静かに変化を迎えている。DefiLlamaの最新資金調達データによると、過去3ヶ月以内に1000万ドルを超える資金調達を完了した73プロジェクトの中で、Layer 1やLayer 2のパブリックチェーンの姿はほとんど見られなくなった。**かつて「聖杯」と見なされていたパブリックチェーンのレースは、今やほぼ消え去った。**一方で、予測市場、決済システム、RWA（リアルワールドアセット）、一般ユーザー向けのインフラストラクチャーには大量の資本が流入している。

L1、L2ブームの終焉とAI大規模資金調達の停滞

2021-2022年のブルマーケットの絶頂期を振り返ると、Solana、Avalanche、Fantomなどの新しいパブリックチェーンは数億ドルの資金調達を頻繁に行い、投資家は「イーサリアムキラー」に賭けていた。しかし、三年が経ち、市場の構図は根本的に変わってしまった。

MovementやStory、そして今年のBerachainやMonadに至るまで、大規模な資金調達はもはや盛り上がりを見せていない。

The Blockのデータによると、2024年のブロックチェーンネットワーク（L1とL2を含む）の総資金調達額は約18億ドルであり、依然として重要なセクターではあるが、成長速度は明らかに鈍化している。一方、X上のユーザー@pgreyyの統計によると、2025年第4四半期には、Paradigmが支援するTempo（決済に特化した新しいパブリックチェーン）を除き、新たなL1またはL2に1,000万ドル以上の投資を獲得したものは一つもない。

1,000万ドル未満の投資しか得られないパブリックチェーンは、「世界のコンピュータ」や「イーサリアムキラー」の地位を維持できるだろうか？

**投資家は、市場は「高性能パブリックチェーン」よりも、実際のユーザーと収益をもたらすアプリケーションを求めていることに気づき始めている。**暗号通貨の大物@sjdedicはX上で次のように結論付けている：「もはや誰もインフラに関心を持っていない。スポットライトはアプリケーション層——消費者向けの製品と実際のユースケースに向いている。'中程度の知能の罠’にとどまり、技術だけに集中して他を無視しているL1は、困難に直面している。」彼はさらに予測している：「今後数年で、数百億ドルの評価額を持つアプリが登場し、L1トークンは市場シェアを徐々に失い、無関係な存在へと退化していくことに驚きはない。」

同様に、AIは2025年最もホットなテクノロジーコンセプトであるにもかかわらず、過去3ヶ月の資金調達で1,000万ドルを超えた暗号プロジェクトはわずか2つだけ：Inferenceは1180万ドルのシードラウンドを獲得し、TAO Synergies Incは1100万ドルのプライベートエクイティを調達、合計でわずか2280万ドルに過ぎない。1,000万ドルの制限を除いても、わずか9社しかない。この数字はWeb2と比べると微々たるものである。対照的に、中規模の決済会社Coinflowの単一資金調達はすでに2500万ドルに達している。

誰もが想像できるだろうか、わずか1年後には、VirtualsとAI16zの大戦はすっかり過去のものとなり、AI×Web3のセクターも火が消えつつある。

新興セクターの台頭

予測市場：エッジからメインストリームへ

予測市場は間違いなく2025年最も輝くダークホースであり、今回の資金調達データの中でも最も注目されるセクターだ。**PolymarketとKalshiの2社だけで、315億ドルを超える資金を集めており、ランキングの圧倒的な支配を見せている。**Polymarketは2024年の米大統領選期間中に330億ドル超の取引量を記録し、選挙結果の予測精度は伝統的な世論調査機関をも凌いでいる。2025年10月、インターコンチネンタル取引所（ICE）——ニューヨーク証券取引所の親会社——はPolymarketに対して20億ドルの投資を発表し、その評価額は80億から90億ドルに押し上げられた。Polymarketはまた、早期に1.5億ドルの資金調達ラウンドを完了している。

一方、Kalshiは10億ドルのEラウンド資金調達を完了し、DeFi事業では3億ドルのDラウンド資金調達を獲得、投資者にはSequoia、a16z、Paradigmなどのトップ機関が名を連ねている。

決済と銀行：ステーブルコインの「スーパーサイクル」

結局、パブリックチェーンの資金調達熱を引き継いだのは誰か？答えは明白で、決済/銀行セクターだ。

資金調達データを見ると、決済セクターは累計で約13億ドルの資金を調達し、基盤インフラから消費者向けアプリまでのエコシステムを網羅している。2025年、ステーブルコインの流通量は年初から約300億ドル増加し、月間取引額は1兆ドルを超え、Visaの取引規模とほぼ同等になっている。

Ripple Labsは5億ドルの戦略的投資を獲得し、Rapydは5億ドルのFラウンドを完了、両社合わせて10億ドルの資金を調達し、決済セクターの大部分を占めている。巨大企業が引き続きリードする一方で、新しいデジタルバンク、銀行間のBtoBサービス、金融サービスのセクターも活発だ。シンガポールのPave Bank、フランスのデジタルバンクDeblock、スイスのFuture Holdings、オランダのAmdaxなどが2000万ドル以上の資金を獲得している。

想像しにくいかもしれないが、2019年にはステーブルコイン分野だけでVCの投資額は5000万ドルに満たなかった。

RWA：仮想と現実をつなぐ

リアルワールドアセットのトークン化（RWA）は、実験段階から規模のある応用へと進展している。資金調達データによると、Figureは78.75百万ドルのIPO規模でこのセクターをリードし、追加の2500万ドルの資金調達と合わせて、一社だけでRWAセクターの資金調達の95%以上を占めている。RWAのコンプライアンス企業Satschelは1500万ドルの株式資金調達を行い、オンチェーン株式取引インフラのBlock Streetは1150万ドルの資金調達を完了、RWAセクターの累計資金調達額は8.5億ドルを超えている。

RWA.xyzのデータによると、オンチェーンのトークン化資産は360億ドルを超え、その中でトークン化された金の時価総額は2025年に10億ドルから3.27億ドル超に増加し、成長率は227%に達している。

また、BlackRock、Apollo、Franklin D.などの伝統的資産運用大手は、積極的に機関投資家向けの製品のトークン化を進めている。プライベートエクイティのマネージャーは、ブロックチェーンを用いて伝統的資産の所有権を表現し、断片化された保有と即時決済を実現し始めている。

同時に、VCのもう一つの注目点は、一般ユーザーにリーチできるインフラプロジェクトだ。これらのプロジェクトは暗号通貨の利用ハードルを下げ、非暗号ネイティブのユーザーもブロックチェーンサービスを便利に使えるようにすることを目的としている。ウォレットの抽象化、ソーシャルログイン、法定通貨の入出金などの方向性に投資が集まっている。UカードのRedotPayは4700万ドルの戦略的投資を獲得し、投資会社Finaryは2940万ドルのAラウンドを完了、自主管理のBronは1500万ドルのシードラウンドを獲得している。これらのプロジェクトは暗号通貨の利用ハードルを下げ、次のユーザー増加の土台を築いている。

DeFi：堅実な回復

DeFiは今回の資金調達ラウンドで堅調に推移し、約7.4億ドルを調達したが、予測市場や決済セクターと比べると、単一の資金調達規模は明らかに小さい。分散型取引所Flying Tulipは2億ドルのシードラウンドで純粋なDeFiプロジェクトの中で資金調達トップとなり、Lighterは6800万ドル、Jitoは5000万ドルの戦略的投資を獲得した。2025年の資金調達データは、VCがDeFiセクターに対してより慎重な評価をしていることを示している。The Blockのデータによると、2024年のDeFiの資金調達は530件以上に達したが、2025年にはこの規模に達していないことが明らかだ。